前回のブログでは、中国武術の概要と特徴を紹介しました。
中国武術は研究家や武術家により様々な比較、研究が行われています。今回は、これに続き中国武術の分類について紹介します。
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中国武術の分類
中国武術といえば、少林拳や太極拳を思い浮かべる方が多いと思います。ですが、実際には拳種、門派が存在します。それぞれが発達した地理条件、宗教、重視する概念等様々です。
中国武術を分類する際の境界線については、線引きが難しいですが、あくまで一般的な考え方として、線引きをしておりますのでその点はご了解をいただければと思います。
北派と南派
中国武術を部類する際に、最も一般的に使われる区分法としては、北派と南派という区別があります。中国では、南船北馬と言われるように、北方での主要な移動手段は馬であり、南方での主要な移動手段は船が使われます。
地理、気候的影響により、北派は動作が伸びやかで腿法を多用し、南派は、拳、腕を多用すると言われていますが(南拳北腿)、多くの例外があります。
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北派
淮河以北(黄河流域)で形成し発展した拳種です。代表的なものを例に挙げると以下のようなものがあります。
- 少林拳
- 査拳
- 八極拳
- 劈掛拳
- 螳螂拳
- 太極拳
- 八卦掌
- 形意拳
南派
淮河以南で形成し発展した拳種です。代表的なものを以下に挙げます。
- 洪家拳(広東省一帯)
- 白鶴拳(福建省一帯)
中国の南北は長江北岸以北を北方、長江南岸以南を南方として区別する方もいますが、中国大陸の感性からいうと、長江北岸であっても稲作地帯は南方に分類します。分類が難しいのは湖北省北部や江蘇省です。これらの地区では省域内に南北の境目があります。
江蘇省北部の徐州は山東省と文化的連続体を形成していていますが、南部は上海までが江蘇省に当たります。南部では完全に呉語(上海語)の領域となります。なお、南京は長江南岸ですが、方言は北方方言に連なる淮江官話となり、言語島を形成しています。
外家拳と内家拳
中国武術には、南北の区分の他に、外家と内家という分類もあります。外家拳とは、筋骨を鍛え剛力を重視する武術、内家拳は、内功や気を重視し、柔なる力を重視するとされますが、こちらも段階的に重視する内容が異なり、画一的に分類はできません。一般的な認識として、以下に代表的な拳種を列記します。
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外家拳
- 少林拳
- 査拳
- 八極拳
- 劈掛拳
- 螳螂拳
内家拳
- 太極拳
- 八卦掌
- 形意拳
内家拳と外家拳は技術内容の差異の他にも功夫の程度の差により連続的に変化するものです。たとえ外家拳の拳種を練っていたとしても、練る内容が意、気、力等の概念を中心に据えたのであれば内家の拳を練ることになります。またその逆もしかりです。
長撃と短打
上に記載した2件の分類方法以外に、戦闘技巧として想定する距離が長距離であるか短距離であるかにより、長撃、短打を区別する考え方もあります。
長撃
- 査拳
- 劈掛拳
- 通背拳
短打
- 八極拳
- 翻子拳
- 螳螂拳
長撃と短打を併修すれば、お互いの不得手なところを補うことができるため、セットで組み合わせ練習されることもあります。(八極拳+劈掛拳)(長拳+螳螂拳)
道教、仏教、イスラム教
また中国は漢民族を中心に様々な民族が雑居しており、儒教、道教、仏教、イスラム教に帰依する民族が混住しています。門派には特定の宗教と関連性があるものがありますのでこちらも紹介します。
道教
- 梅花拳
- 螳螂拳
- 八卦掌
仏教
- 少林拳
イスラム教
- 白猿通臂拳
- 教門長拳
- 弾腿
- 査拳
- 心意六合拳
まとめ
本日は、中国武術概説に続き、中国武術の分類について紹介ました。内家拳、外家拳、短打、長撃、等は重複する拳種も多く、またその内容にも多くの概念、分類が含まれることがあります。よってこのように定義別に分類すること自体が間違っているという指摘も受けると思います。実は私も本心はそう思っています。
ですが、中国武術を研究し、評価し、優劣を比較したりする過程で拳種を概して分類し、全容のつかみにくい中国武術をよりわかりやすくするものであるとご理解いただければ幸いです。
中国武術の拳種については、画一的に分類、区分することは困難であり、さまざまなご意見があると思いますが、今回はあくまでも一般的に世間に認識されているものとして紹介させて頂いた次第です。
私は今回列記した中国武術の拳種すべてを体験したわけではありません。実際に習った拳種は山東省の武術を中心としてごく一部、実際に動作を見た拳種を含めても何百とある拳種の10%にも満たないのではないかと思います。ですが、メジャーな拳種については一定の見識を持っていると自負はしています。
これらを含めて本日のブログが中国武術に興味がある方に喜んでいただければいいと思っています。またこれらの記事は私個人的見解であり、特定の団体を代表している物でありませんので予めご了承願います。