本日は、中国武術における、格闘技や武道との違いについてお話をしたいと思います。
中国武術について、中国人はこういいます。「中國武術就是一個生活習慣」(中国武術は生活の一部だ)と。ここが他の格闘技や武道と異なるところです。但し、日本の武道に於いては、一部共通する価値観があります。それは、「兵法は平法なり」という考え方です。
3種類の違いを表にして表してみるとこうなります。
中国武術 | 生活習慣 |
---|---|
日本武道 | 精神修養の道 |
格闘技 | 一対一での優劣を決するために行う徒手格闘 |
これらが技術体系、練習形態にも違いを及ぼします。例えば中国武術では練習は普段着で行うことが多いですし、すこし練習したいなと思えば公園でもどこでも練習場所に変化します。また技術体系としても一対一に拘らない広いレンジを想定したものです。
今回、日本武道の特徴として精神修養の道、つまり人格形成の道であるということを一例をとして挙げていますが、日本武道が精神修養を重んじていることは事実だと思います。中国人からは違和感があり、私個人も違和感があるわけですが、練習場を出入りするときの礼や、正面への礼、等、挨拶の徹底などがそれを代表していると思います。
中国武術の姿
中国武術は、本質的には戦闘技術ですが、
- 用 実用性
- 美 美観を鑑賞する
- 体 身体の訓練、運動
- 学 哲学、思想、理論
が一体化し、武術の学問と言えるだけの奥ゆかしさを秘めています。武術を練る楽しみという観点から、強い嗜好性を持っているとも言えます。
日本武道でも、同様に戦闘技術を芸術に昇華まで昇華させた流派もあると思います。専門ではありませんので深い研究ができていません。
格闘技は、一対一での戦闘技術としての強さの優劣を公平なフィールドで競う徒手格闘です。藝術性として学問に昇華できるものはないと思います。
服装
服装について、違いを以下に説明します。
中国武術
中国武術は靴を履きます。なぜかというと中国人が靴を履いて生活しているからです。日常すなわちそれ即武術だから。中国家屋は北方にみられる炕Kang(オンドル)以外は基本は土間ですから、屋内でも靴を履きます。
中国人は靴を脱ぐのは、オンドルの上に上がる時と寝台の上で練る時だけのようなイメージです。黄土の踏み固められた土の上、また煉瓦ふきの地面の上が基本的なフィールドとなります。
中国の伝統的な履物は布靴ですが、現代では布靴で練習する人はあまり見かけません。武術用のシューズや運動靴で練習される方が多いようです。
中国武術は靴を履く。これはポイントです。裸足でやったら足の裏が痛いです。それにガムとか、何か汚いのをにちゃっと踏んだとき落ち込みます。
(2024/10/31 04:14:58時点 Amazon調べ-詳細)
服装は、自由です。普段着で練習します。運動しやすい服装なら何でも問題なく、演舞服で練習する人もいますが、スーツでやスラックスで練習する人もいます。中国武術の練習のためにわざわざ更衣室で着替えるような話は聞いたことはありません。
中国武術はいつでもどこでも練習できます。
日本武道
日本武道は、基本は、屋内での稽古を想定している流派が多い気がします。道場の板間、畳の座敷で練習することが多いでしょう。江戸時代町道場が広まる前の時代、屋内で稽古を行っていたのかといわれると疑問です。おそらく屋敷の庭か、寺院、神社の境内で稽古を行っていたのでしょう。
服装は道着、柔道着、空手着、さまざまですが、練習の時、わざわざ練習着に着替えて、練習が終わったらまた練習着を脱いで普段着に着替える様です。ということは練習には更衣室や控室も必要になります。
道着の材質は、木綿が多い印象です。木綿は吸湿性は高いですが一度吸った水分を放散する機能に乏しく、乾くのに時間がかかるため洗濯が面倒です。適度に色落ちします。
格闘技
競技の公平を期するため、服装は同じものを着用するようです。足元は裸足です。適度にクッションが効いたリングの上で相対することが多いからでしょうか。服装は画一的ですが、材質は吸湿性、柔軟性などを考慮に入れた機能的なものが採用されています。
競技の際には公平をきすため裸足ですが、トレーニングの際には選手の方は機能的なスニーカーや運動靴、専用のシューズを用いて練習しています。
まとめ
本日は格闘技、日本武道、中国武術の違いについて簡単に解説しました。本日の内容をまとめると以下のようになります。
分類 | 格闘技 | 日本武道 | 中国武術 |
定義 | 一対一の徒手格闘 | 精神修養の道 | 生活の一部 |
姿 | 勝ち負けを争う | 古代~近世の戦闘技術 | 本質的には戦闘技術、健康維持、娯楽を兼備 |
足 | 裸足 | 裸足、草履 | 靴 |
代表 | MMA K1 | 柔道、剣道、空手、古武道他 | 長拳、太極拳他 |
個人の独断で解釈をしており、例外も多数あることは承知しておりますが、中国武術や他の武道の違いについて興味を持って頂けると嬉しいです。