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伊勢三郎義盛百首解説 その20 敵情編

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本日も忍術の心得が詰まっている「伊勢三郎義盛百首」という歌集の中にある歌について、いくつか解説をしたいと思います。

忍び歌19
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今回は伊勢三郎義盛忍び歌百首の中から「敵情」に関する2首について説明します。

窃盗者に敵をとひつつ下知(げぢ)をせよ ただあやうきは推量のさた

監視の目監視の目

現代語訳:敵はどういう状況なのかを忍びに問い、情勢がよくなるように下のものへ伝えよ。危ういことは、敵の状況を推量で判断してしまうことである。

解説:敵の実情がどのようなものかを知るには、忍びを敵陣に放ち実際の状況を報告させよということです。衛星画像やドローンによる空撮、周辺からの噂の収集、遠方からの直視により敵陣の兵員数、兵装、陣地の規模、などおおよその情報は得ることができます。

ですが、将官の教養と経験、指揮統率能力、地下壕に隠蔽された弾薬や兵糧の備蓄数、士気、規律、等外部から確認しにくい情報、または無形情報を得るには、忍びによる潜入と情報収集が適しています。

とくに、規律、士気、疲労度、兵卒が一致団結しているか(統一された民族か、多民族、多他宗教の混成部隊か)、等の目に見えない情報については現在でも密偵による情報収集がメインとなります。これにおいては、忍びは戦国当時随一の技術を持っていました。

過去に忍びが行ってた技術をそのまま現在の世の中で練習したり、紹介したりすることは、レベルが低すぎて笑ってももらえず、ただ、「感心されるだけです」。そして滑稽で馬鹿げていて、恥ずかしくて外国に魅せられないものです。

ですが、生身の人間が得た感触を伴う情報分析と報告という物は、戦略策定や軍略の意思決定に於いて、重要な要素を構成することがあります。

情報を上官に報告する際には先入観、自信の推測はおいておき、まずは客観的な事実を上奏するようにしましょう。収集した客観的情報に基づき状況を分析をするのは参謀の仕事であり、その報告に基づき全体の意思決定をするのは将校の仕事です。このようにして、情報収集の実務担当者、情報分析と報告の作成、意思決定の役割分担を分けることが行われます。

まずは客観的事実を偏り、推測なしに伝えることが重要です。

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はかりごとも 敵の心に よるぞかし しのびを入れて 物音をきけ

監視の目監視の目

現代語訳:こちらの謀も、敵の心次第である。忍びのものを敵陣に入れ、敵の動向を探り出せ。

解説:当方が考案している謀略が通用するかは、こちらの作戦計画が周到かどうかにも関わりますが、敵方の準備態勢、または敵の指揮官の経験や思慮の深さなども影響を与えます。よって、それらの生身の感触を確かめるには、現在でも実際に敵陣に人を入れ、雰囲気を探らせるのが一番です。

用兵においては、作戦行動に投入される予算、人員数、兵装、車輛、補給の確保、指揮命令系統など数値化できるもののほかに、指揮官の能力や士気などなかなか数値化が難しい部分があります。数値化が難しい部分をできるだけ正確に把握するには敵陣に潜入し生の声を聴いたり、「げなげなばなし」を集めたりして、その場の空気を身で感じることが重要です。

敵地に潜入するための技術として、変装というものがあります。変装は服を着替えるということに及ばず、表情、姿勢、言葉、所作、言葉、知識、背景などすべてが含まれます。これらを敵方に合わせて誰も疑うことすらしない状態に持っていけば、相手は潜入者を仲間だと認識し、いろいろな情報を伝えてくれます。それらを見聞きし、的確に報告すれば、陣地攻略の手助けになることは間違いありません。

忍術は偸盗の術そのものか、偸盗の術に限りなく近いものであるとともに、そこには心理的なスキをついて相手の懐に深く入り込む技術であるということができます。これは伊賀国の人間が南山城地域、奈良盆地、近江南部の合戦にやとわれて参加するというレベルではなく、アフガニスタンやウクライナ、ロシアでの偵察、密偵、情報収集での舞台を考えてのことです。

人生は短いものです。昼間から黒ずくめの服を着て、里山で印を結ぶようなことをしている時間はありません。民族、人種、宗教、文化の異なる敵方の陣地に潜入し、潜入していることも誰にも知られずあわよくば味方にも疑われるほどに、匂いなく紛れ込む技術を具体的に学び、実用になるよう訓練しましょう。

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伊勢三郎義盛忍び歌百首のまとめ

監視の目監視の目

本日は、「伊勢三郎義盛百首」から「敵情」に関する歌を抜粋し解説しました。士気、統率、規律等のような見えない情報を掴むには現代でも人をして敵陣営、勢力圏に送り込み、生の情報を掴んでくることが重要です。

ジャーナリスト、新聞記者、通訳、外交官、駐在武官、バックパッカー、登山家、宗教家、行商、バイヤー、日本語教師、JICAの調整員、牧童等いろいろな職業に成りすましせるように日頃から訓練し、報酬単価を高める様努めましょう。

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