本日も忍術の心得が詰まっている「伊勢三郎義盛百首」という歌集の中にある歌について、いくつか解説をしたいと思います。
今回は伊勢三郎義盛忍び歌百首の中から「防諜」に関する2首について説明します。
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目次
我陣に 夜うちしのびの 入る事は 与党の人の 科(とが)とこそきけ
現代語訳:我々の陣地に、夜討ち忍びが入るということは、我々の陣内での過ちであることをよく言い聞かせなければならない。
解説:夜討ち忍び、密偵が、間諜こちらの陣地内に侵入してしまった場合、こちらの防諜体制に落ち度があったことであるのでよく認識をしなけばならないということが記載されています。
こちらが敵陣に夜討ち忍び、密偵を放ち、潜入させることがあるということは、敵陣営も同様のことを行ってくるということで有り、時には何か月も前から味方陣営に参加している物、出入り業者、出陣からの帰投時にすり替わってもぐりこんでいる者などがいます。
まずは味方陣営の仕事仲間と同業者の顔をしっかり覚えることです。これである日あまり知らない人間が潜り込んでいたらすぐわかるようになります。また味方同士お互いにいろいろ話をし、文化的背景についての相違や、言葉の方言、所作に違和感がないか、確認しましょう。
例えば、伊賀生まれ伊賀育ちの郷士の子弟が伊賀特有の方言に聞き取れない言葉があるというのはおかしかったりします。そのようにして、適当に話をしていれば怪しいものが潜り込んでいるのをあぶりだせる可能性があります。
ただし、潜伏者は潜伏先の情報をできる限り収集し、偽の名前はおろか、出生地、育った環境、学歴、職歴、母語、価値観、家族構成まですべて偽情報を完全にインプットしていることも忘れてはなりません。
昔は合言葉などで管理をしていたようですが、現代ではそのような稚拙な方法はあまり用いられません。
潜入者を防ぐためにはIDカードで管理するか、光彩の登録、顔認証、指紋認証(これも破る方法がある)等の最新技術やゲートでの厳重なセキュリティチェックなど似て敵陣営からの間者をあぶり出せるようにしておくことが必要です。
顔認証や指紋認証は整形や指を引きちぎって持ってくるという方法ですり抜けることが不可能ではないことに注意が必要です。
我がかたに しのびの入(い)ると おもひなば 味方をかぞへ せんさくをせよ
現代語訳:こちらの陣内に、忍びが入っている疑いがあるらば、味方を数えて、敵の忍びがいないかどうかを詮索せよ。
解説:こちらの陣営に忍びが入っていることが疑われる場合は、数を数えて敵の忍びがいないかを確認する必要があります。もし敵方の密偵がこちらの人間とすり替わっていれば、実際には、頭数を数えただけでは、対応は不十分です。個別に与えた番号と顔認証等、一対一で人間を識別し照らし合わせることができるように体制を作っておきましょう。
防衛線に参加する民兵等の場合、同じ地域から徴集された人員が配置され、顔見知りが集団行動をしています。この場合、よそ者が紛れ込む確率は低くなります。ですが、外部侵攻時に、外部から招へいした義勇軍、現地徴用兵や苦力(クーリー)、民間軍事会社の警備スタッフを臨時雇用する場合等、出入りと人事管理を厳重に行う必要があります。
そのような外部からの臨時スタッフの中に、情報収集エージェントを潜り込ませることは容易です。もともと外部に雇われ、内部情報を逐一外部に報告するために雇われて潜り込んでいる義勇軍の兵士も相当いるとみるのが妥当です。
民間軍事会社のスタッフも金銭的インセンティブで雇用された従業員です。彼らが内々に別の組織と契約し現地情報の収集と報告を請け負う可能性には十分に留意しましょう。
伊勢三郎義盛忍び歌百首のまとめ
本日は、「伊勢三郎義盛百首」から「防諜」に関する歌を抜粋し解説しました。本日は敵方密偵が味方陣地へ潜入することを防ぐ、またはそれをあぶり出すという件について抽出を行いました。
逆にこちらから敵陣に密偵を送り出す場合にも、これを逆に考えて対応をする必要があります。実際の戦闘では死傷者も多数発生します。
死傷者の服装をうまくはぎ取り、「ふう、あぶないところだった」と言いながら帰着すれば、比較的にすんなりと敵陣に潜り込むことができるでしょう。兵装に記載された名前と生年月日を覚え、写真部分を削り取ってうまく内部に入り込みましょう。登録した顔社員との照合が行われたときはその時はその時です。
出入り業者などを使い、敵陣に堂々と潜入することが常道ですが、この場合に、すり替わりを行う場合にも、注意を行いながら対応を行っていくことをお勧めします。とくに騒がしい時こそ、人間が入れ替わったりすり替わったりする機会が多くなります。これを頭に入れて作戦行動をするようにしていきましょう。