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伊勢三郎義盛百首解説 その8 合図編

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本日も忍術の心得が詰まっている「伊勢三郎義盛百首」という歌集の中にある歌について、いくつか解説をしたいと思います。

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今回は伊勢三郎義盛忍び歌百首の中から「合図」に関する3首について説明します。

しのびゑては 敵かたよりも どしうちの 用心するぞ 大事なりける

狙撃兵狙撃兵

現代語訳:忍びを行うときは、敵方よりも同士討ちに用心することが大切である。

解説:忍び稼業を行う場合、夜間に任務遂行を行うことが多く、そこでは同士討ちが発生する可能性が高くなります。過去には同士討ちが起こらないように、味方にだけ目印をつけたり、合言葉を考えることが行われていました。

同士討ちを避けることをより確実にするためには、発信機を付けて敵味方識別を行ったり、合図、目印などにて味方であるかどうかを判別するようにしておくことが重要です。ただし、味方の中に潜入した敵の密偵はその合図や合言葉、目印を敵方に漏らすこともあります。

また味方の中に潜入している敵方の密偵、特務員は味方のふりをしながら作戦行動中に謀反を行う可能性もあります。これらにも注意し、同士討ちの可能性に用心しておくことが重要です。

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ようちには 敵の付け入る 事ぞあり 味方のさはう 兼ねてさだめよ

雪上の兵士雪上の兵士

現代語訳:要地では敵が付け入るようなことがある。そのため味方であるという合図のような挙動合図を、かねてから定めておくこと

解説:要塞、野戦陣地を攻略する際にはこちらから密偵を潜入させることがあるということは、こちらが陣地を防衛する場合、敵方は同じく、密偵、工作員をこちらに占有させようとします。その場合、敵方の特務員かどうかを判断するために、敵方に知られない合図、目印を定めておくのことが必要です。

現代の情報戦において、無線通信や暗号通信の類は傍受され解読される恐れがあります。そのため、敢て原始的な目印、合図を行うことが有効な手段となりうる可能性があります。

現代では暗号やパスワードなど便利なツールを使って簡単に敵に知られない情報を伝える技術がありますが、それらは技術にて解読されてしまうリスクを秘めています。腕に目印を巻き付ける、や合言葉を設定するなどの方法は一見原始的ですが、このローテクが逆に効果を表す場合もあることを認識しておくことは必要です。

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どしうちも 味方の下知に よるぞかし 武者のしるしを かねてさだめよ

合図を送る兵士合図を送る兵士

現代語訳:変装などをしている者同士も、君主から受けている味方の下知によるものである。忍びである証を、かねてから定めておく必要がある。

解説:変装などをして、敵陣の使用人、苦力(クーリー)となり潜入している者がいるかもしれません。かれらはひょっとすると現在こちらで諜報部門と契約を結び、敵方の勢力圏内に潜伏している物かもしれません。

例えば、1945年、ソ連の対ドイツ戦線が圧倒的に優勢となり、ドイツの降伏が目前となってから、ソ連は大量の物資、兵員、戦車をシベリア鉄道で極東に輸送し始めました。

関東軍は、ソ連の対日参戦を想定し、相当数の密偵を、ソ満国境を越えた外満州に配置、現地の少数民族に変装させて、シベリア鉄道での輸送状況の情報を収集し、対日参戦の時期を判断していたとされます。また関東軍は同時に白系ロシア人(ロシア革命後、これに反対して国外に亡命したロシア人)を利用したとも行われています。

その場合、こちらから派遣された者同士が接触する場合もあり、その場合の合図を確認しておかなければ同士討ちが発生する可能性があります。

ソ連側も当時、日方と同様に満州国内に居住する白系ロシア人のなかから諜報員を育て、またソ連の密偵を満州国内の白系ロシア人の中に紛れ込ませ、関東軍の戦力に関する情報収集に努めていました。

ソ連側、関東軍双方が少数民族や白系ロシア人を活用して情報収集と情報かく乱に努めようとしていたわけです。そこの中での本当の敵味方の識別は非常に難しいです。二重のスパイという場合もあるわけです。

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まとめ

歩哨歩哨

本日は、「伊勢三郎義盛百首」から「合図」に関する歌を抜粋し解説しました。人間同士の合図というものは、軍事技術の発達した現代の情報戦に於いても、傍受解読される可能性が低いため、無線封鎖した状況下においても有効に機能します。

500年ほど陳腐化した戦国期の伊賀の忍術は、そのままでは使い物になりません。当時の伊賀の忍びは、戦国期より500年前に流行した源平合戦の装備である、腹巻や大薙刀で武装をせず、火術、砲術、当世具足を軽量化したものを使い、戦忍びを行っています。

古い文献をそのまま弄ぶのではなく、現代の最新技術を基本としながら、参考できる物は参考に使えるものは使っていくといういうスタンスは、伊賀の忍術の精神や心意気としては重要です。

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