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伊勢三郎義盛百首解説 その7 夜回り2編

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本日も忍術の心得が詰まっている「伊勢三郎義盛百首」という歌集の中にある歌について、いくつか解説をしたいと思います。

忍び歌夜回り
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今回は伊勢三郎義盛忍び歌百首の中から「夜回り2」に関する3首について説明します。

夜まはりの 心がけには 物音や てきのさわぎと 火事と油断と

夜の路地夜の路地

現代語訳:夜回りをする際の心がけは、物音や、敵の騒ぎ、火事と心の油断である。

解説:夜回りをする際の心がけとしては、異音、物音に注意する事、敵の騒ぎ、火事や爆発に気を付けること、心の油断です。自分の耳で物音を聞き分けることが難しい葉場合、補聴機や各種センサーを使い不審な音声をキャッチする必要があります。

また敵方はこちらを混乱に陥れるため、放火を行ってくることがあります。陣地攻略の初戦において相手陣地を混乱させ、兵を浮足立たせるために有効なものは放火です。伊賀の忍びが城塞を攻略する際の得意技法でしたので、防御する側に雇い入れられた場合にも、これを行ってくることを想定する必要があります。

元亀天正の頃の日本の陣地の建造物は木造の急ごしらえのものが多かったため簡単に放火炎症を行うことができました。現在の陣地は分厚いコンクリートで覆われたり、塗料や材質も不燃材を使用しているため、構造物自体に放火しても延焼することはありません。

よって放火として狙う場所としては燃料の保管庫や爆薬や弾薬の貯蔵室、危険物保管庫です。あらかじめ潜入している工作員に命じてここを爆発させれば敵陣は大混乱に陥ります。夜回り、歩哨も爆薬貯蔵室、危険物保管庫や燃料の貯蔵室については厳重に防御を行うべきです。

また心の油断をしないよう注意が必要です。疲れ、眠気は集中力をそぎ落としますので、眠気を防止するための食品、眠気覚まし、気付け薬や集中力を維持するための薬品を摂取したり刺激を与えたりしながら、眠気、油断がないように注意を行いましょう。

よまはりに ふしんのものを 見付けなば ちりやく(知略)を廻し いけどりにせよ

夜の街夜の街

現代語訳:夜回りをして、不審者を見つけたら、知略を巡らし、その不審者を生け捕りにせよ。

解説:不審者を捉えた場合、すぐに刺殺せずできれば生け捕りを行いましょう。不審者を殺害することは簡単ですがこれをやってしまうと相手方の情報をつかむことができません。殺さずに生け捕りにするのはとても難しいですが、ぜひ生け捕りにしましょう。

即死させずに足に銃弾を当てるようにすれば捕縛を行うことができます。ただし自爆や自殺用の薬物を持っている可能性があるので直ちに体を調べてあげる必要があります。そして、金や利得で釣り上げるか、拷問にかけ有力な情報を収集しましょう。

注意しなければならないのは、敵方が、生け捕りにされることを前提としてニセの情報を掴ませた諜報員を放ってきている場合があることです。そうならないようにするために生け捕りにした後は、吐きださせた情報を上官に報告し、情報の正確性について確認を行わせるようにしましょう。処分するのは拷問にかけた後でも遅くはありません。

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夜まはりに うち捨てするは 大事なれ はやまり過ぎて 味方うちすな

夜の風景夜の風景

現代語訳:夜回りに、不審者を見つけたとしてもすぐに打たないで見逃しておくことは、大事である。それは、早まりすぎて味方を打ってしまわないようにするためである。

解説:夜間の歩哨を行っているうちに、不審者を見つけた際に、時には気づきながら泳がしておくことが必要な場合があります。それは自分の知らない指揮系統で別の歩哨などが活動している場合が考えられるからです。

歩哨を行っている際に、歩哨を監視するために配置された監視員を発見してしまうことも考えられます。よって歩哨をしている際に不審者を見つけた際には、慎重に対処をすることをこの歌は説いています。

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まとめ

夜の風景夜の風景

本日は、伊勢三郎義盛百首の中から、夜回りについて解説を行いました。この中で特に興味深いのは、夜回りにて敵の斥候を見つけた場合でもできれば生け捕りにせよ、と書いてあることです。

すぐ息の根を止めることは簡単でも、できれば生け捕りにし、拷問にかけ、敵方の情報をできるだけ収集するべきです。またその際には上の通り、偽の情報を持った拙攻で有る事には十分に注意をしなければなりません。

敵方はニセの情報を握らせた、斥候をわざと放っている可能性があるからです。その場合に備え、斥候を生け捕りにした場合は、諜報担当の将校に状況を報告し対応に当たりましょう。

捕縛した斥候に偽の情報を見せつけて、わざと陣地に送り返し、偽情報を相手方に流させる方法として活用できます。これらを考え、夜回り、つまり歩哨を行う人材の教育を行わなければならないということです。

忍びの術には相手の諜報員の活用方法にも言及されていることを意識しなければなりません。

忍び歌合図編
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