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伊勢三郎義盛百首解説 その6 夜回り1編

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本日も忍術の心得が詰まっている「伊勢三郎義盛百首」という歌集の中にある歌について、いくつか解説をしたいと思います。

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今回は伊勢三郎義盛忍び歌百首の中から「夜回り」に関する3首について説明します。

夜廻りや 大事の番を する時は しづまり居つつ 物をとをきけ

夜の紅葉夜の紅葉

現代語訳:夜回りや、大切な見守り番をする時は、静かにつつ物音を注意して聞け

解説:忍びは夜回り、つまり夜間巡回や歩哨に立つことがあります。その場合は、自分の気配を消し、音を出さないようにしながら、物音を注意して聞かなければなりません。まずは自分が音を出すことがないように、ゴムの靴底の靴を履き、衣擦れの音がしない静粛性の高い服を着るようにしましょう。シャリシャリ音がするウインドブレーカーは忍び稼業には向きません。

敵の密偵も、足音がしない靴底の靴を履き、物音を立てない歩き方の訓練をしているはずです。それを見つけ出すことが、歩哨の任務です。

気配を消して近づこうとする人間の動きを人間が聞き分けるのは難しいでしょう。その場合や、人間の耳で聞き取れないような音を感知するには、特定の音波を拾う機器を使用したり、サーモセンサー、暗視装置を使い、暗闇でも人間や対象物の動きを察知する必要があるでしょう。

特に、雨、大風の時は、密偵が近づきやすい条件が整っていますのでこちらも用心する必要があります。忍び夜討ちを行うのに適したタイミングは、月がなく、雨や大風がある夜の皆が寝静まった時間帯です。このような天気の時にこそ歩哨は気を抜かずに警戒をする必要があります。

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夜まはりの とほる跡より まはすをば かまりつけとぞ いふならひなる

夜のとばり夜のとばり

現代語訳:夜回りの、通った跡から、回って行くことは、忍び対策の「かまりつけ」いう習いである。

解説:夜間の巡回や歩哨を行う際は、自分が通った後をもう一度回りましょう。自分の後をつけながら情報収集や潜入を行う敵方の密偵がいるかもしれません。背後に注意しながら全方位に注意を払うことが必要です。

歩哨は一定時間に一度見回りをするよう定められることがあります。ということは相手は、見回りをした後の一定時間は見回りが来ないと予測し動きます。これを想定に入れ、時には逆の方向に夜回りをしたりと、こちらの裏をかく相手の裏を逆にかくような頭の使い方をする必要があります。

500年前に夜間警備を担当する者は、暗闇に目を慣らす訓練を行ったりして夜間の作戦行動のための訓練を行っていましたが、現在は暗視スコープというツールがありますのでこちらを活用しましょう。もちろん暗いところで物が動くのをよく察知できる訓練をすることは有効です。

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よまはりの とほる跡こそ 大事なれ かまりつけをば いくたりもせよ

夜の街夜の街

現代語訳:夜回りの通った跡が大事である。敵が自分の跡をつけていないか、「かまりつけ」を何度も行え。

解説:夜間巡回や夜間の歩哨に立つ際には、自分が通過した背後にも気を付けましょう。自分が要塞や野戦陣地の偵察を行う場合を想定してください。

その場合、歩哨の後を追うようにして、陣地に接近するはずです。ですから同様に敵方の密偵はそのような形でこちらに近づいていることを想定し、時々背後に怪しいものがないかを確認しながら歩哨を行うことが重要です。

夜回りのまとめ

夜の戦場夜の戦場

本日は、伊勢三郎義盛百首の中から、夜回りについて解説を行いました。

莫大な軍事予算を持つ大国は、独自に偵察衛星を保有しており、大気圏外の人工衛星から精密な空撮写真で地理情報を入手できます。また陣地攻撃では普通部隊による地上攻撃を行わなくても制空権を確保してから戦闘攻撃機による精密爆撃により拠点に打撃を与えることができます。

ですが、小国や、非正規組織、義勇軍などの空軍を持たない組織が構想を起こしている現代の紛争地帯では、小規模な陣地や防衛線は今でも存在しており、その場合、人間が警備、歩哨、侵入、攻略を行います。そのような場合、伊勢三郎義盛忍び歌百首に書かれている夜回りの注意点について、生かせる場面があるかもしれません。

現代、忍者を名乗っている人は、500年ほど前の風体を真似してそれを弄んで喜んでいます。500年前の伊賀の忍びは当時の最新の技術を駆使し、技術的優位を以て全国のクライアントと業務提携し、契約された業務をこなし報酬と信頼を得ていました。

実際に過去の合戦の記録を見ると、陣地の配置図に「伊賀衆」と書かれたものがあります。伊賀衆は実際に、他国で警備の業務にあたっていたことが事実として記録されています。

夜回り、つまり夜間の歩哨に暗視スコープのような道具が有ればそれを活用していたはずです。そのあたりの考え、伊勢三郎義盛忍び歌がいう心意気を考えてみてください。

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