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地功拳 ~大地を翻滾跌転する奇襲拳術~

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以前、私は別ブログで、中国武術は寝技を使わないということを記述したことがありますですが実際には中国武術にも寝技に相当するような技術、拳種は存在します。

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それが地功拳です。本日は地功拳について解説します。

地功拳とは

中国の風景中国の風景

地功拳は地趟拳とも言う拳種或いは技術の集合体の総称です。地功拳とは、地面を背にし、地を這いながら蹴り技や足払い、擒拿などで戦う武術で、ジャッキー・チェンで有名になった酔拳や、猴拳も地功拳の一種です。

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地功拳の歴史

中国の風景中国の風景

地功拳の歴史としてこのブログで紹介しようと思い、信ぴょう性のある情報はないか調べてみましたが歴史と言う歴史を調べることはできませんでした。地功拳の歴史は私は語ることはできません。よくわからないからです。

但し長拳系と言われる武術は多かれ少なかれ地功動作を併修するところが多いことからそこそこの昔から黄河流域に広く流布した技術内容であることは間違いないと思います。

地功拳の特徴

中国の風景中国の風景

地功拳の特徴は地面を転げまわりながら繰り出す蹴り技にあります。また宙返り、前転、後転、倒立や側転などの動作がたくさん入ります。飛んだり跳ねたりアクロバティックで大胆な動きが特徴です。

攻撃や防御は通常の北派武術からするとかなり変則的な動作となります。地功拳の動作には、前滾翻、後滾翻、搶背 絞剪 烏龍絞柱 鯉魚打挺等があります。

攻防技術としては意図的に倒れながら蹴りを出したり、ドロップキック、カニばさみの様にして相手を投げたりとったトリッキーな攻撃です。

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地功拳の強み

地功拳の強み、練習するメリットは以下の通りです。

意表を突けるトリッキーさ

地功拳は、通常の保守的な攻防技術、例えば左で構えて前手で防御をしながらジャブとストレートを慎重に繰り出す、と言うようなスタイルとは一線を覆すトリッキーな動作を行います。相手が体験したことがないような動作で攻撃を行い相手の意表を突きます。これは奇襲攻撃には有効です。

身体能力が向上する

地功拳を練習すると身体能力が向上します。理由は基本功でバランス能力や筋力トレーニングを行なわなければならないからです。例えば倒立歩行や側転、前転等、体操競技の床運動で行う運動を練習します。これによりバランス感覚や全身の運動能力が底上げされるということです。

長拳と互換性がある

地功拳の基本功、いわゆる歩形などは馬歩や弓歩であり、長拳と共通です。長拳を練習している者が地功拳を練る時に、全く別系統の訓練をする必要はありません。踢腿、歩形、跳躍技法などを練習し、その延長線上で地功拳を練習できます。つまり互換性があるということです。

全身の筋肉トレーニングになる

地功拳の動作は足腰だけでなく、腕、肩、背中の筋肉も使わなければ成すことができません。よって地功拳は下半身だけではない全身の筋力トレーニングになります。

受け身の練習になる

地功拳は地面を転げまわったり、アクロバティックな動きをたくさん行います。その過程で自分の動作で自分がケガしてしまわないように受け身をとる動作も多くなります。また地功拳は地面を転げまわるといっても、畳やマットの上を前提とはしていません。踏み固められた黄土の地面、煉瓦、コンクリートの地面で動き回ることが前提です。

硬い地面の上で体を傷めないように適切に対応する能力が磨かれます。

器械体操ができれば内容は簡単

地功拳は器械体操の床運動と共通する身体操作が多いです。よって体操選手や器械体操をやっていた方にとっては何も難しい動作はありません。逆立ち、前転宙返り、後転宙返りなどを淡々と行っていただければ問題ありません。

地功拳は跳ねる床上でやる競技ではなく、硬い地面の上で動くことが前提ですのでそこだけ注意すればすぐに適応できると思います。

中国武術の難解な理論を体現できなくてもよい

地功拳は優れた身体能力を使って蹴りやアクロバティックな動作で敵を翻弄し隙を見つけて攻撃を仕掛けることに特徴があります。

一件簡単に見える動作をひたすらやり込み精錬し極めて精度の高い整勁を打ち出す拳種とはいささか内容が異なります。よって技術だけ取り出すのであれば中国武術の難解な理論を体現できなくても、動作を行うことができるところに特徴があります。

差別化を図れる

トップアスリートの才能をもった選手が長拳の套路を時間をかけて練習すればだれでも相当レベルの高い内容の動作ができるようになります。

難易度の低い動作ばかりの技術構成では差がつかなくなってしまいます。ここに地功拳から高難度の高い技術を取り入れれば、差別化をはかることができるようになります。

地功拳の弱点

九寨溝九寨溝

ここまで地功拳の強みについて解説しましたが、強みがあるところ弱点もありますのでそれを解説します。

人を選ぶ技術内容

地功拳の技術内容は人を選びます。

小学校時代逆立ちをはじめとしてマット運動が得意だった人は、遊びの延長でほとんどの動作を習得できると思います。器械体操の訓練を受けた人ならなおさらです。技撃性のある動作をすこし入れればいいだけです。躰道、カポエラ、ブレイクダンスが得意な人にとっても何も難しくはないでしょう。

でも人間の運動神経には個人差があります。ですが逆立ちや側転ができない人にとっては地功拳は苦痛だとおもいます。

習得が難しい

地功拳には、難易度の高い受け身技や胴体のみを使った匍匐前進、飛び蹴りなどがあり、運動が苦手な方にとって体得が非常に難しい動作が含まれています。運動音痴だけど気の力で強くなれる中国武術がやりたい、という方は地功拳と言う選択肢は初めから外したほうが良いと思います。

体力の消耗が激しい

地功拳は見た目にも激しい動作がかなりありますが、練習してみると予想通り激しく体力を消耗します。下半身だけでなく、上半身もまんべんなく使い大きな動作を繰り返しますのでふらふらになるほどの疲れる拳種です。この動作に耐えられるだけの体力をつけるためにはまずは長拳の基本功をこれでもかというくらい練らなければなりません。

上半身にも大きな負荷がかかる

地功拳は、倒立や飛込み前転のような動作がさくたんあります。これが上半身にも体操選手並みの負荷を与えます。普段中国武術の練習は下半身の練習が中心で、上半身にかかる負荷はそれほど強いものにはなりません。武器を練りそれを補助する程度です。

地功拳は上半身にも強いアプローチを掛けますので全身運動となります。これが下半身中心のカリキュラムを通常としている方にとってはとても辛いものになります。

投下労力対効果が低い

地功拳は使い物になるまでに膨大な投下労力が必要な拳種であり、また体力を消耗する拳種でもあります。ただ、その割に使い道は奇襲攻撃やトリッキーな場面に限られ、相手が防備の備えをした場合効果が発揮しづらいものになります。

その結果、消費体力や投下労力に対する効果は決していいものではありません。また他の拳種では一度動作と勁の運用を身に着ければ、流して練習しているだけでもそこそこ体は動きますが地功拳では常に筋力と体力を維持する必要があるため、技術の維持コストを考慮にすると費用対効果は低い拳種と言わざるを得ません。

自滅の可能性が高い

地功拳は受け身を練るには最適の拳種ですが、同時に受け身を失敗したときには自滅する可能性が高い拳種でもあります。特に石畳や踏みしめた地面、コンクリートの地面で練習する体系となっているため着地に失敗すると打ち身、打撲、骨折などが発生します。

私の老師は地功拳を得意としていましたが、晩年練習の際に膝を損傷し、片膝を人工関節に交換しています。

服が汚れる

地功拳の弱点として、服が汚れるというのがあります。服に土がつきます。踏み固めた黄砂の大地の上で練習をするので足の先から頭の先まで誇りまみれ、砂まみれになります。

乾いていたらまだましですが、泥水の水たまりがあったり、家畜のいるところで練習するのは気になりますね。何か踏んで「にちゃっ」となるだけでも気分が悪いのに、そういうところで転げまわるのは衛生上なかなか覚悟がいります。

特に中国ではみんな手鼻をかみます。痰も「がぁあああ、ペッ」とします。だから悠久の中国の大地はけっこうキッチャないです。そこでゴロゴロするのはちょっとあれです。

武術は平らなところでやるとは限っていません。ましてはお座敷で練習するものではありません。舗装されていないバラスの駐車場、ここで地功拳の技を使うと全身すり傷だらけです。ガラスの破片や釘が落ちていたらもっと最悪です。

地功拳のまとめ

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今回は地功拳というマイナー武術を紹介しました。長拳の基本功を教えている教室では上級者向けに地功拳の基本功を教えているところがあるかもしれません。興味があれば地功拳の技もぜひ習得してみてください

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